エシカル・サスティナブル都市、アメリカオレゴン州ポートランと日本の地方都市
お洒落な街に変わったと話題だった、オレゴン州のポートランドに行ってみたい!と思い始めてからはや10年以上。
お気に入りの本を読み返して今だからこそ住んでみたいと強く思うのは、緑溢れる自然環境とそこに住む人の未来を考えたエシカルでサスティナブルなコミュニティ環境が整備された、居心地の良い場所を求めているから。
日本でも少しつつ移住の風潮が強まってきた今日この頃。改めてポートランドの魅力と、日本で居心地の良い場所はどこなのか?考えてみました。
今回読み返したのはコレ。定期的に読み返したい本の一つ。
ポートランドという住みたい街No.1の魅力は?
自然と都市が近い地理的魅力
ポートランドの基本情報
- 人口65万人を超え、日本だと島根県より少し少ないぐらいの人口。
- 地理的には北海道稚内と同じぐらいの緯度だが、太平洋からの湿った暖かい風と地形により緯度のわりに4−26℃ぐらいの温暖な気候。秋から冬は雨が多い。
- 消費税が無いが、近年の人口増加に伴い住宅価格や物価は上昇している。
- ”美食の街”、”サスティナブルな街”、”住みたい街”など様々なランキングの上位を獲得している。
- IT企業や有名スポーツブランド企業が本社を構える。
- 地ビールやワインも有名。
コロンビア川に合流するウィラメット川を中心に東西にまたがる中心都市。東にはカスケード山脈、西側にはほぼ街中にフォレストパークがあり、街を囲む豊かな自然の中で日常的にハイキングやサイクリングなどを楽しむことができます。
ビーチまでは車で1時間半ほどの距離。ダイナミックな自然が気軽に行ける距離にあるのは、あらゆる年齢層にとって心穏やかに過ごせる環境として重要なポイントだと思います。
エシカルを意識した衣・食・住
ポートランドを語る上でキーワードになるのが、エシカルやサスティナブルという言葉。
■エシカル(Ethical) 倫理的・道徳的なという意味だが、現在では環境に優しい・社会貢献的な意味合いで使われている。
■サステイナブル(Sastainable) 持続可能な、という意味。地球に優しく、環境維持を考えた事業や商品、環境に配慮した行動などを表現する際に使われる。
1970年台後半、経済都市区域と農業・森林区域を棲み分けることで、双方のバランスを守るための都市開発から始まりました。
郊外では盛んに農作物が作られ、新鮮なうちに都市部に届けられ消費されます。週末には都市部の人が郊外でアウトドアやサイクリングを楽しみます。
一方、経済区域では脱車社会に対して高速道路の撤廃や、歩行者・自転車に配慮した交通機関の整備、古い建物などを生かしたミクスドユース(店舗や居住やオフィスなど関連性や利便性に配慮し、計画的に配置した施設の使い方)、郊外の農作物を使ったレストランやマーケット、アウトドアの会社など街と自然が密接に、無駄なく循環しているところがまさにサスティナブルであると言えます。
また歩いて移動するという街づくりはコミュニティ意識が高く、ミクスドユースな居住環境で社会貢献している店を利用すれば、自動的にエシカルな活動の中にいることになります。人は環境の生き物なので、意識の高い環境にいると自分もそれに配慮した考えや行動になり、そういった一人一人が作っていく街だから、持続的な経済活動の維持が可能で、住みたいと思わせる街の雰囲気に繋がっていくのだと思います。
アート・音楽・デザイン・サブカルチャー
雨が多い地域は家に篭るからなのか、アーティストや技術家多いですよね。ポートランドはそもそもヒッピー(60年台から70年台にかけて自由と自然回帰を思想とした若者等)が移り住んだ土地で、今でもそのカルチャーが受け継がれている部分も少なからずあるようです。
アートギャラリーも数え切れないほどあり、物を作る職人やデザイナーなどポートランド発のブランドも沢山あります。
こういったクリエイティブな人たちが集まるのも街ありきで、経済活動が活発な場所に人や企業は集まり流動性ができる。そして街が促す環境保護活動や社会行動に人が無理せず参加し、人が集まるところに商品やサービス・アイデアが集まる、という素晴らしい循環を意識的に作っているのがこの街なんです。
日本の住みたい地方都市ランキングからみえる傾向
さて一方日本の地方都市はどうだろう。調べていたら”住みたい田舎ランキング”なるものを見つけ、知らない間に移住者が増えている街があることを知りました。
総合部門 | 若者世代 | 子育て世代 | シニア世代 | |
1位 | 愛媛県西条市 | 愛媛県西条市 | 愛媛県西条市 | 愛媛県西条市 |
2位 | 山口県宇部市 | 大分県大分市 | 愛媛県今治市 | 鹿児島県鹿児島市 |
3位 | 静岡県静岡市 | 鳥取県鳥取市 | 静岡県静岡市 | 山形県酒田市 |
”小さな市部門”では大分県豊後高田市、大分県日田市、大分県宇佐市、大分県臼杵市、島根県雲南市、
”町部門”では島根県飯南町、北海道沼田町、長野県辰野町、高知県四万十町、愛媛県久万高原町、
”村部門”は長野県宮田村、長野県木島平村、長野県青木村、山梨県丹波山村、群馬県嬬恋村があげられています。
意外な都市がランクインしているのでこれを機に調べてみましたが、中でも興味深いのは若者が支持する都市でした。愛媛の西条市、大分県大分市、みんな温泉好き笑
そして何よりそれぞれの自治体が移住者と地域を結ぶ仕事や住居、その他問題に対して一人一人対応しているところが人気の理由感じました。移住に必要なのは一時的なお金もですが、リアルに長く働ける環境と地域の受け入れ態勢やサポートですよね。
ポートランドとの共通点
コンパクトシティと言われるポートランドとの類似点はまさに、日本の地方都市も豊かな自然と街が近いこと。ポートランドに比べて各街の面積は小さいので海にも山にも1時間もかけず行けるというのは、とても恵まれた環境にあると言えます。
また地産地消も道の駅みたいなものが各地にできたり、SNSによって生産者から直接購入できるようになったり、ファーマーズマーケットが地域で開催されたりと、若い人がいる地域では盛んに行われています。
ただポートランドと比べて圧倒的に足りていない要素なんじゃないか?と思うのがアートやカルチャーなどクリエイティブな物に対しての投資。気軽にアートに触れる場所はほぼないし、ライブハウスも減少中、アートのイベントは個人レベルで国や自治体が介入しているところなんてほぼないですよね。
今よりもっと若い人がイベントを作って、そこに気軽に街の人が参加できるような仕組みを作っていくことができれば街は活気付き、その情報がSNSで発信され、のちに移住者増加で起業や町おこしに繋がっていくのではないかと思います。
地方都市の可能性と魅力
コロナで新しい働き方に変わってきてる今、都会にこだわらない生き方を考える人が増え、ポートランドのような地方都市があれば移住したいと思う人は多いはずです。実際私は独自リサーチで福岡にお試し移住中です。
今なら移住者も起業サポートや国の支援を受けて何かを始めやすいですし、地元の人しか知らないような秘境を見つけて広めたり、競合他社がいないので店舗経営やサービスなど参入しやすかったり、移住者視点で色々なことに挑戦できる可能性が高いです。
そして地方都市側では地域の人のコミュニケーションの場として、移住者を受け入れるコミュニケーションの場として、人が流れるポートランドのミクスドユース的な場所を作るのが優先課題なのではないかと思いました。
色々調べていると都会の郊外でも計画的な街作りが行われているみたいですね。街つくりとは大きな会社の運営のように感じます。日本は生まれた土地に根付く人が多い印象ですが、これからは働く会社を選ぶように、住む街を選ぶ時代がやってくるのではないでしょうか。改めて街とは面白く、自分も何か街づくりの一部に関わってみたいなと感じました。
ポートランドを訪れたら絶対に行きたいスポット
Portland Farmers Market
地元でとれた野菜やフルーツ、スイーツやコーヒーなど土地の色がわかるファーマーズマーケットはマスト。朝イチで行ってモーニング一式購入したい。
New Seasons Market
私の大好きなオーガニック系スーパーマーケット。新しい街にいったらスーパーに行くのがお約束。