ワクワクや好きを仕事に【田舎でもどこでも出来るひとり貿易】

輸入ビジネス3.0

去年何となく買ってみたこの本。やり方や規模は違うけど、海外の商品に魅せられた同志が本の中にたくさんいました。私も輸入に携わって10年以上。同じ業界の人たちの考えを知れた事、そして新しいアイデアが浮かんだこの本は読んだ価値がありました。

最近では海外から仕入れのハードルが下がったので、本業以外に副業として転売や個人輸入販売をする人が増えたと思います。個人輸入ははっきり言ってやり方を覚えてしまえば簡単なんですよね。組織が生き残れるかどうか微妙なこの時代、個人でどこにいても稼げる力として、個人輸入は比較的リスクが低く、知っておいて損はないビジネスだと思います。

私はアパレル系で仕入れたものをオンラインで販売したり、展示会でオーダーしたものを店舗で販売した経験があります。業界は違っても、仕組みや流れは大体同じなので、私の経験もまとめてみました。

ひとり貿易って?

ひとり貿易とは文字通り、自分で海外の素敵な商品を見つけて、それを日本人に向けて紹介・販売することです。すなわち”仕入れ・ブランディング・マーケティング・販売・在庫管理・経理”の作業を全てひとりでやるわけです。私の場合、本当にひとりでやっていた時期もありますが、生活できるレベルの売り上げをあげるのは大変ではありません。(家族を養う規模だと結構頑張らなくてはなりませんが)

著書『輸入ビジネス3.0』でいう”ひとり貿易”は資金調達の部分がクラウドファンディングになっているのが特徴です。また多種多様な商品を扱う転売とは違い、1点の商品に集中しプロデュースしていくやり方です。まさに今の時代に合う、リスク最小限のビジネスと言えるかもしれません。

ひとり貿易の魅力

日本にこんなにものがあるにも関わらず、海外には日本未上陸な魅力的な商品がまだまだ沢山あるし、毎年アイデアあふれる商品がリリースされています。そんな星の数の商品の中から光るアイテムを見つけることこそが、この仕事の最大の魅力です。

著書で何度も繰り返されていますが、ワクワクするものを見つける、好きという情熱が今の時代は本当に重要です。この仕事はそれをわかりやすく実現できる職業の一つです。

また日本にまだない商品の場合、代理店を通さないので、売値を自分で設定できます。なので利益率の高さも魅力です。ある商品だとしてもブランディング次第でオリジナルのプライスで販売可能です。独占販売権を取れば、それはもう自分の子供のように育てる楽しみがありそうですね。一本勝負できる、そういう商品に出会いたいです。

Source:Las Vegas Review-Journal

デメリットもあげておくと在庫のリスクや宣伝、お金のやりくりからクレーム対応に至るまで、ひとりでやらなければいないということです。これはアウトソーシングで解決できる部分があります。できるだけ自分の負担を減らすために利用すべき時がくると思います。

あとは、いけると思ったものが売れなかった時のメンタル的ダメージ笑 これはデメリット?かわかりませんが、経験を積めば直ぐに傾向がわかってくるので、その辺は徐々に問題なくなっていくでしょう。分析あるのみです。

商品の仕入れ方・探し方

実際に買い付けに行く

現物を見て確認しながら仕入れするのは、安心かつリスクの低い仕入れ方の王道です。ショールームやマーケットは世界中にたくさんあります。そこで顔馴染みになれば追加生産の交渉を進めやすくなったり、卸値を勉強しくれたり、現地仕入れは人と人とのつながりが重要な仕入れ方です。信用を積めば積むほど有利になるので、コミュニケーション力は多少必要です。また海外の場合、インドや中国などの商売人は押しが強力なので、必要でない物を断るメンタルがとても重要です。(慣れるとこの流れがとても楽しいですが)

以前、ひとり貿易のはじめの一歩的な記事を書きました。

現地買い付けは国によって生産するものが違い特徴があるので、どんなものを売るか、もしくは探すかで買い付けに行く国は変わってくるでしょう。ネットでリサーチして、欲しいアイテムはどの国で買えるのか、ある程度目星をつけて行かないと、旅費の無駄使いになってしまいます。

  • 中国 おもちゃ・雑貨・家電・家具・繊維系など
  • タイ アパレル・古着・コスメ・革製品など
  • アメリカ アウトドア用品・ヘルス系・オーガニック製品など

ショールームは取扱アイテムによって様々だと思います。アパレルに関して言うと、安いアイテムを扱うところだと基本アポイント無し、飛び込みで在庫があれば即購入可能なところが多いです。中価格帯以上はアポをとってサンプルチェック、オーダーして後日商品を発送する感じです。ミニマムや納期・価格など条件の確認を忘れずに。

ショールーム買い付け

オンラインで取引する

オンラインが一番手っ取り早く簡単な方法です。しかし海外とオンラインのやり取りは一筋縄では行かず、私もかつて色々なトラブルを経験しました。なのである程度買いたい物の知識があり、販売者と確認のやり取りをきっちりしなくては泣くことになります。

とは言えとても便利なサイトが沢山ありますので、少量で試しつつ、質問して問題をクリアにしつつ、太い取引先にしていくのが理想です。中国のサイトではサンプル買いができるところもありますし、できなければ交渉可能なところが多いので聞いてみましょう。

日本語対応している・直接取引できるサイト

上記サイトは大手で日本語可ですが、言語を問わなければ、オンラインで取引できるメーカーは世界中に死ぬほどあります。海外対応していなくても、何とか対応してくれるところもありました。南米のウルグアイ(行ったことも、位置も定かではないにも拘らず)と革製品の取引をしたことがありますが、何の問題もなく個人でビジネスの取引ができました。

金銭のやり取りがあるので取引相手の見極めが必要ですが、今のところ大きく失敗したことはないので、割と相手を信用してやっています。顔が見えないので信用を見せるのは難しいですが、情熱は伝わるはずですので、もしどうしても取引したい商品と出会ったら諦めずに交渉してみてください。

展示会で商談する

magic-tradeshow

展示会の魅力は、まだ世に出回っていない商品をいち早く見られることに尽きます。世界中から集まるバイヤーと肩を並べ、舐められないよう交渉をしていかなくてはなりません。私が参加したことあるのはニューヨーク・ラスベガス・ロサンゼルス・バンコクの展示会です。主にアパレルの展示会ですが本当にきらびやかな世界で、商談中にシャンパン出てきたことあります笑

大きな都市の展示会はその国のメーカーだけでなく、各国から参加している場合もあります。色々な商品を実際沢山見ることができる展示会は、オンラインで探す手間を考えると、やはり合理的で時短なシステムです。しかも今後どのようなものが流行るかを知ることができるので、今後の参考になりそうな商品やメーカーなどチェックして、オンライン上でベンチマークすることも可能です。デザイナーや発案者が現場にいる場合が多いので、商品についてより詳しく聞けるのも展示会ならではです。

世界の展示会に参加するにはほとんどの場合、オンライン上で手続き可能です。現地でパスをもらい、あとはひたすら巨大な会場をアンテナ張り巡らせて足を棒にして原石発掘を楽しむだけです。

JETRO 世界の見本市・展示会情報

大きな展示会はJETROに掲載されていますが、もっと小さな専門的な展示会は載っていないので、オンラインで探すしかないようです。例えばLAの中だけでもファッション系・フード系・雑貨系など分野に分かれて展示会が開催されています。アイテム名・都市名・”trade show/Exhibition”で検索してみてください。

今後どういう風に物を売るか

今のところはオンラインで初めて、売れ初めて実店舗という流れが主流かと思います。商品によっては売れるベストな場所があるかもしれませんが、今後オンライン市場が縮小することはまずないので、まずはここからでしょう。SNSも必須です。

専門店・個人店舗・百貨店などのリアル店舗

私がリアル店舗から遠かったのは今から5年前。リーマンショックや東日本大震災があり、これからの時代もう実店舗は厳しいんじゃないか、と強く思ったのを覚えています。とは言っても今インバウンドで盛り上がっている店舗もあり、業種によるのかなと思います。

実店舗は何と言ってもお客様とフェイストゥフェイスなので、エンゲージメント率がとても高いです。売り手のしゃべり一つで心を動かすことができるのは、接客販売ならではだと思います。

しかし近年の傾向として店舗で商品をチェックして、オンラインで最安値を探すと言う行動が話題になりました。実店舗の意味を考えさせられますね。それに何と言っても固定費が高すぎます。オンラインで売れる商品を世に広く打ち出すタイミングで、百貨店に出店や専門店をするのがベストかもしれません。

オウンドメディア

ホームページやショッピングサイトを作っておいて、損することはありません。とりあえず無料オンラインショップを立ち上げてSNSでPR、使い方や着用をYOU TUBEでPRするなど使えるツールは今沢山ありますし、しかも”無料”です。これらを使い倒してAmazonや楽天などに店を持つのもいいですし、自社サイトを作ってしかりとブランディングしていくのもよし、やり方に正解はありません。

また冒頭でも言いましたが梱包出荷代行や問い合わせのサポート、現地輸入代行者や配送業者まで、ありとあらゆる代行業社があります。自分一人で全てをやるには時間が足りない時、これらの外注業者にサポートを頼めば、もっと商品を探すことに集中できます。

田舎でも海外でも、いつでもどこでもリスク無しで始めるには、もうオンライン以外あり得ません。

クラウドファンディング

これはこの”輸入ビジネス3.0”で初めて知りました。”Makuake”と言う体験や商品に特化したクラウドファンディングをご存知ですか?何だかガイヤの夜明けで特集されそうなネーミングだなと言う印象でしたが、ソニーやシャープも活用していると言う若くして既に存在感のある会社でした。

独占販売したい惚れ込んだ商品に出会った時、こう言うシステムがあると資金調達と製品のPR、市場の反応を同時に行うことができるので、ひとり貿易者にとっては死ぬほどありがたいシステムです。

これを知ってからどんな製品があるかリサーチしているんですが、本当に物が溢れている世界だと言うことを痛感します。この中で誰かの心を掴むアイテムをぶっ込んでいくって、なかなか難しそうです。でも挑戦してみたいことの一つになったので、常にそのアンテナを張っていようと思います。

おわりに

昔より今の方が時代の流れが圧倒的に早く、私も試行錯誤しながら輸入しています。ただここ数年は様子が変わってきていて、SNSの浸透で認知されて売れるスピードは倍以上になった気がします。誰でも情報を見る事ができると、いうことは、真似されやすいという事でもあります。なのでSNSをうまく使い、自分のファンを増やす事がとても重要です。この辺はSNSマーケティングになってくるのですが、とても奥が深いので勉強必須です。

物販というのは検品したり、梱包したり、細かい作業がとても多いです。でも私はその大変さ以上に、海外の文化に触れ合える機会や新しい物に出会える刺激、自分の選んだ物が売れていく感激を味わえるこの仕事が好きです。歳とったってできるし、目まぐるしく市場が変わるので飽きません。

とりあえず副業で少額の仕入れから初めてみて、フリマアプリなどを利用しつつ、面白かったら少しずつ資金を貯めて拡大していく、またはクラウドファンディングに自分の原石をかけてみるのも、今の時代ならではのやり方です。

そしてゆくゆくはそういう人たちとコミュニティを作って、面白い店を作るのが老後の私の目標です。100年時代を生きる今、歳をとってもできる仕事を仕込んでおかなければ、と現在の高齢化社会を見ながら強く思います。